売上の計上基準とは?~注意が必要なネットショップの経理~

自社の商品・製品を販売した際、何日付で売上計上したらよいのか迷ったことはありませんか?

いつもニコニコ現金払いなら、

商品の引渡しやサービス提供と入金が一致するため、迷うことはないでしょう。

しかし、運送業者さんを使った場合は、

・自分が送った日 ・先方に届いた日 ・入金された日

などなど、売り上げを認識すると思われる日はいくつか存在します。

どのタイミングで売上計上するべきなのかを見ていきましょう。


<目次>

 

(1) 売上の計上基準は?


 

(2) いつの時点で『実現』したと考える?


 

(3) 入金日はダメ?


 

(4) まとめ


 


(1) 売上の計上基準は?


まず、売上計上基準とはどういうものかを見ていきます。

そもそも売上計上基準は明確に決めなければいけないのでしょうか?

売上計上基準は『実現主義』に基づいています。

企業会計原則では

『すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。

ただし未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。』

とされており、特に

『売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る』
とされています。

つまり、売上を計上する基準が決まっていないと、決まった会計期間の中で、

「この売上は入金があったから」や「この売上は商品を渡したから」など様々な理由で売上が計上されてしまい、

”正しい売上高”を導くことができなくなってしまいます。


(2) いつの時点で『実現』したと考える?


“正しい売上高”を導くために基準は必要ですが、『実現』とはいつのことを指すのでしょうか?

『実現主義』というと、専門用語的で難しく感じる人もいるかもしれませんが、商品と引き換えに現金を貰うだけなら迷うことはありません。

例えば、スーパーのレジを通った時、『実現』して売上計上になります。

でも必ずしもお客様と直接相対して商品を売るとは限りません。

入金の後に商品を渡したり、宅配便で送ったりと様々な商品の受け渡しがあります。

様々な商品の受け渡しパターンも次の3つの基準で考えることができます。

① 発送基準・・・商品を送った日で売上計上する

② 引渡基準・・・商品が相手に届いた日で売上計上する

③ 検収基準・・・相手が商品の検収を完了した日で売上計上する

企業は①②③のいずれか基準で売上を計上する時点を決めます。

企業会計原則では

『その処理の原則及び手続きを毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない』

としており、企業が1度決めた売上計上基準をいつでも好きに変更することはできません。

毎期継続して同じ基準で売上を計上しているならば、いずれの処理も『実現主義』に沿った処理と考えられます。


(3) 入金日はダメ?


売上の計上基準は「①発送基準」「②引渡基準」「③検収基準」とお話ししました。

『あれ?お客さんから集金した日じゃダメなの?』

と思われた方もいるのではないでしょうか?

確かに商品を送った、受取っただけでは商売になりません。商品の対価を回収して初めて商売として成り立ちます。

でも特別な販売形態の場合を除き、商品の受け渡しの時点で売上は実現したと考えられるため入金日での計上は認められません。

 


(4) まとめ


(1)売上の計上基準は『実現主義』

(2)「①発送基準」「②引渡基準」「③検収基準」の 3 つの基準で考える

(3)入金日での売上の計上は認められない。

 

売上計上基準について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

一口に『実現主義』と言っても、正解は1つではありません。

昨今では様々な販売形態があります。売上計上基準で迷ったときは、専門家に相談することをおすすめします。

 

※なお令和3年4月1日より『収益に関する会計基準』が導入され、従来の『企業会計原則』に優先して適用される基準として位置づけられていますが、

中小企業の会計処理については従来通りの企業会計原則等による会計処理が認められることとされていますので、本文は中小企業を前提として掲載しています。

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